#16 映画音楽の魅力
- ladorchestra
- 2023年9月30日
- 読了時間: 4分
指揮のOです。
2023年9月10日(日)
この日は板橋区のグリーンカレッジホールにて今回の演奏会の前半を彩る映画音楽を練習しました。
本日のブログでは、これら映画音楽たちの魅力や、この演奏会を通して伝えたい各曲の魅力を見ていきましょう。

なお、こちらのブログの内容はあくまで筆者の主観によるものが大半を占めますので、読み手によっては解釈違いが生じることも有り得ることをご承知おきください。
今回演奏をするのは、
美女と野獣 BEAUTY AND THE BEAST Overture (ALAN MENKEN)
サウンドオブミュージック THE SOUND OF MUSIC SELECTION FOR ORCHESTRA (RICHARD RODGERS & OSCAR HAMMERSTEIN 2nd)
ティファニーで朝食を より ムーンリバー MOON RIVER From The Paramount Picture "BREAKFAST AT TIFFANY'S" (HENRY MANCINI)
キャッツ より メモリー MEMORY From the musical "CATS" (ANDREW LLOYD WEBBER)
レ・ミゼラブル Selections from LES MISÉRABLES (CLAUDE-MICHEL SCHÖNBERG)
※以上、今回の演奏会の曲順の予定です。
一見、何の脈絡もない曲の寄せ集めにも見えるかもしれません。しかし、次のように考えてみましょう。
美女と野獣
主人公のベルは、物語の前半では野獣となっていた王子を嫌っていましたが、物語が進むにつれ、野獣との愛を育み、最後は野獣の呪いを解くことに成功します。その際、野獣はガストンに撃たれ重傷を負い、一時は命をも落とす命がけのやりとりがあります。
なお、今回の演奏会では、2017年の実写映画版の音源に基づいたスコアを使用していますので、解釈もそちらに合わせています。
サウンドオブミュージック
主人公のマリアは、ゲオルク大佐の家の家庭教師を務める中で次第に彼との間に愛を育みますが、ナチ党の支配下になるオーストリアからの命がけの脱出を試みます。
ティファニーで朝食を
主人公のホリーは、まともに働きもしない生活を送っていましたが、作家のポールに兄(弟という説もあり)のフレッドを重ね、次第に惹かれあっていきます。ホリーのブラジル渡航、麻薬密売への加担の疑い、兄(弟)フレッドの死…それらの逆境を乗り越え、最終的に二人は愛を育むことになります。
さて、ここまでは「愛」あるいは「命」といったものが物語の根底にあることが見えてきました。そして、ここまでの「愛」は、いわゆる恋愛としての「愛」であることが多いでしょうが、「愛」はそれ以外にも様々な形で表現されます。
CATS
古い路地裏で様々な生き方をしてきた猫たちが登場人物(猫?)。舞踏会で「天井にのぼる猫」が決められ、理想の自分に生まれ変わることができるようになるというもの。猫同士の互いの「愛」もそうですが、「理想の生き方」「幸せとは何か」といったことを考えさせられる…まさに限りある命のあり方について深い考察を与えさせる物語になっています。
※この物語はミュージカルでの上演がメジャーですが、映画版も存在するので今回の演奏会では「映画音楽集」と一括りにさせていただいております。
レ・ミゼラブル
パンを盗んだ罪で投獄されていたジャン・バルジャンは、釈放後に工場を経営し、そこにはコゼットの母ファンティーヌも働いていましたが、工場をクビになり、人生のどん底へと突き落とされてしまいます。
ジャンはコゼットを引き受け、彼女を幸せにすることを誓います。彼らの間には、いわゆる男女愛とは異なる形の「愛」が芽生えていることがわかります。
そもそもこの時代は、フランス革命後に王政復古した19世紀前半のフランスが舞台。革命によってせっかく勝ち取った自由は名ばかりで、金や権力がものをいう格差社会でした。コゼットの恋人になるマリウスは、このような社会に対する蜂起に加わりますが、マリウスの仲間たちは次々と殺されていきます。
おわかりいただけたでしょうか?
今回演奏する5つの作品には、いずれも様々な形の「愛」と、「命の尊さ」、あるいは「幸せとは何か?」「人(猫)の尊厳とは?」といった普遍的なテーマが描かれていることがわかります。
悲しいニュースが流れる日々が続き、周りでは憎み合ったり心を探り合ったりすることが絶えないと思う方もおられるでしょうが、この演奏会の間だけはそういったことから解放され、「幸せ」とか「生きる喜び」のようなものを感じていただければ幸いです。
長文・駄文失礼いたしました。次回は、通常の形式のブログに戻ります。
それでは、またどこかでお会いする日まで。
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